仕事で使う資料を探していたら、
こんな言葉が目に飛び込んできて、
ぐっと心を掴まれた。
「どんな遠くに旅をしても、
その距離だけ内面へも旅をしなければ、
どこへも行き着くことはできません」
アメリカの女性画家、
リリアン・ヴィルヘルム・スミスが遺した格言だ。
最近の私は、遠くへの旅はしていないが、
自分の世界を旅している。
何も特別なことをしていなくても、
日常の瞬間瞬間に、いちいち心動かされる。
それは、
真新しい制服に身を包んだ息子たちの
成長ぶりだったり、
まばゆいばかりの新緑だったり、
磨き心地の良い歯磨き粉との出合いだったり、
スマイルカットされたオレンジに
かじりついた時のみずみずしさだったり……。
どこまで自分の世界を面白がれるか。
どうやらすべてはそこに掛かっているようだ。