養護学校のPTA企画、
卒業後の子供の進路先を見学する会で
福祉事業所を訪れた母親たちを前にして、
「もっと気楽に過ごせばいいのに。
(子供の将来について)意気込み過ぎだよ。
高校生ってもっとテキトーにちゃらんぽらん
やってるよ」
と話し始めた施設長。
次に引率の先生に向かって、
「あなた目標持ってんの?
いつ頃から持ち出したの?
仕事始めてからでしょ?
徐々にでしょ?」
のんびりしてたっていいじゃないですか」
「養護学校ではやたら挨拶や身の回りを
どうたらこうたらってやってるけど、
会社入る奴らだってテキトーな奴、
いっぱいいるでしょ?
(障害を持つ子供たちだって)
もっと青春楽しまなくっちゃ」
再びお母さんたちに向き直って、
「お母さんたちも、子供の将来のことで
あんまり窮屈に考えなくたっていい。
別に福祉施設で一生暮らしたっていいじゃない。
どこでどうやって過ごしたとしても、
社会人であることには変わらないんだから。
要は子ども達にとって、青春を楽しむ余裕が
あってもいいんだよ。
青春は喜怒哀楽を思いっきり味わうこと。
それを友達同士でできるのがすごくいい。
障害のあるなしに関係なく、
世の中全体でやっていけばいい。
みんな一緒に生きていけばいいんだよ」
福祉施設にしてはあまりにパンチの効いた言葉に
皆言葉を失うなか、
「そうだよね、そうこなくっちゃ」と、
ひとり嬉々としてメモを取っていた私。
引率の先生によると、
私は目を輝かせながら話を聞いていたのだとか。
その後の主任のお話もすごく良かったの。
「利用者さんは障害の種類や程度も様々。
できる人ができない人を支えて、
ときにはトラブルもあるけれど、
みんな一緒に過ごして関わり合いながら
活動しています」
わかります。
決して綺麗事だけじゃ語れない一面が
あることだって……。
でもね、館内を見学してみると、
テンション低くてぼーっとしている人も、
黙々と作業している人も、
音や光の刺激に敏感すぎて落ち着かない人も、
ちゃんと居場所がありました。
そしてやる気や才能を持っている利用者さんには
ちゃんと役割を与えて、
その人が持っている可能性をぐんと伸ばして生き、
社会的にも認知されるような導線づくりがされていました。
みんな一緒ってこういうことなんだなあと
あたたかい思いでその場を後にしたのでした。