駅前のロータリーでバスを待っていた時のこと。
向こうから、ランドセルを背負った男の子が
母親に手を引かれながらこちらに歩いてきた。
母親の張り詰めた表情から、
すでにその子は小学生ではあるものの、
手を離すと道路に飛び出すかもしれない
ということがうかがい知れた。
そして、バスに乗ろうと母親が手を離した一瞬の隙に
少年は、ぱあっと走り出してしまった。
危ない! と、
その子に駆け寄ろうと足が前に出掛かったその時、
そこにいた何人もが私のように駆け寄ろうとしているのがわかり、
一番近くにいた人が少年の手を掴んだ。
幸い、車両の通行がなかったので、
無事母子はバスに乗ることができた。
母親は何度も頭を下げていた。
みんな、気にしていないようでいて、
実はその母子のことをちゃんと気にかけていたことに
感動した。
帰宅後、その一部始終を夫に話し、
「私も同じような体験を何度もしてるから、
あのお母さんの緊張感は痛いほどよくわかる」
と言うと、
夫は、
「きっとあなたが次男の手を引いていた時も、
同じように思っている人たちがいて、
助けたかったと思うよ」とつぶやき、
それを聞いた私の目から、思わず涙があふれた。
自分ひとりで抱え込んでいたつもりだったけど、
そう思っていたのは私だけだったのかもしれない。
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