華麗に炸裂してレディとして生きていく方法

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思い出のアジフライ定食

年度末だった先日のこと。

昼食を取りに定食屋に入り、アジフライ定食を注文した。

 

夫婦で切り盛りしているらしい年季の入ったその店内では、

厨房にいるご主人が配膳している奥さんにかなりきつい口調で

指示を出しているのが聞こえてきて、

「ずいぶん機嫌が悪いんだな」と心の中で思っていた。

 

その後食事を終え、店を出ようとすると、

奥さんが出入口の引き戸の暖簾のところまでやってきて、

 

50年続けてきたこの店が今日で店じまいすること。

今後はお孫さんと遊びに行くなどのんびり過ごすつもりであることを

話してくださり、

さらに、実は、私がその店に行ったのは初めてだったにもかかわらず、

長年贔屓にしてくれたことへのお礼も言われたのだった。

 

そこで初めて私は、

あのおじさんの八つ当たりとも取れる怒号は、

実は店じまいすることへの寂しさだったのだと悟った。

 

揚げたてサクサクの衣とホクホクした身のバランスが

絶妙だったあのアジフライがもう食べられないかと思うと

あらためて閉店したことが惜しまれる。

 

しかし、あの時私が食べたアジフライには

おじさんの言葉にできない様々な思いが込められていたに

違いないかと思うと、

あの味を忘れたくないなあと思う。

 

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